インタビュー 乙武 洋匡さん

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2月から3月にかけて、自らリサーチして4週間のセブ島留学を体験された乙武さん。卒業式前日に、セブ島留学を終えた生の声を聞かせていただきました!

乙武洋匡(おとたけ ひろただ) 1976年4月6日生まれ
東京都出身 A型 大学在学中、自身の経験をユーモラスに綴った『五体不満足』(講談社)が多くの人々の共感を呼び、500万部を超す大ベストセラーに。
ニュースキャスター、スポーツライター、絵本作家、小学校教諭を経て、2013年に東京都教育委員に就任。多才な才能を発揮。NPO法人「グリーンバード新宿」代表。2015年4月から政策研究大学院大学へ進学。


 

セブ島留学の2つのきっかけ2015_03_119999EOS 6D_517

「乙武は英語ができるんだ」というイメージをもたれてしまっているんですが、実は全然そうではなくて(笑)。私の場合、ある程度大学受験までやってきたので、そこそこ、リーディング、ライティングはできる。でもカンバセーションができるかというと、苦手な典型的日本人のタイプなんです。特に、極端にリスニングができない。それがコンプレッックスだったんです。
でも、それに反比例して、私は海外を旅行するのが大好きで、仕事とプライベートを合わせてこれまで37ヵ国に行っています。リゾートでのんびり過ごす旅よりは、ローカルなところに行って、ローカルの人々と話して、ローカルなものを食べる、というスタイルの旅が好きなんです。 でもやっぱり言語がネックになって、現地で出会う人々とそこまで深いコミュニケーションが取れなかったりするんですね。それがストレスというか、もどかしかったというのが留学を決めた理由の一つです。

もう一つとしては、セブに来る1週間前に、大学院を受験したんですね。そこがかなり特殊な大学院(注:政策研究大学院大学)で、学生の7割以上が海外からの留学生。私が受験したプログラムは、日本語で行われるプログラムなのですが、英語のプログラムは生徒のほとんどを留学生が占めているようなところなんです。なのである程度英語ができた方が、さまざまな留学生とより多く交流する機会を持てるだろう、というのがもう一つのモチベーションとしてあって。だからセブ留学をこのタイミングで決めました。


英語を勉強する意味って?


日本人の弱点は多様性だと思う。小さい頃から、「みんなといっしょ」という教育を受けてきていて、人生の幅をせばめてしまっている。私は、いろんなイベントなどで、学生さんにお会いする機会が多いのですが、「学生のうちにしておくべきことって、何ですか?」という質問を良く受けます。 その質問にたいして、「海外への一人旅です。」と答えています。
2015_03_119999EOS 6D_572海外へ行くのが手っ取り早い。私たちの常識が先方の非常識なこともあれば、私たちの非常識が先方の常識であったり。今までの当たり前が、くつがえされるような体験ができる。
他の言語でももちろんいいのですが、英語は、数と量の意味で価値観や視野を深めて行けるツールだと思います。

英語コンプレックスを溶かしてくれるセブ島留学
日本人はどうしても欧米コンプレックスから抜けきれないところがあると思うんです。
英語を勉強する場所として、アメリカ、ヨーロッパ他も素晴らしいけれど、どうしても気後れしたり、劣等感を抱いてしまう。フィリピンではそもそもとても親日で日本人に対して好印象をもってくれている。リスペクトを感じます。

こちらのつたない英語も一生懸命聞いてくれる。その姿勢が、ほぼ全ての日本人がもっている英語に対するコンプレックスを、じわじわ溶かしてくれるのだと思います。これがとても大きい。

実際レッスンを受けていて、欧米人と比べて、発音が著しく劣るとか、そういうことは一切感じません。むしろデメリット少なく、私たちの心をオープンマインドにしてくれるとてもいい環境だと思いますね。

マンツーマンレッスンの活用法 乙武流カスタマイズレッスンのススメ

マンツーマンの一番の特徴はやはり、いい意味で逃げ場が無い、強制的だという事だと思います。通常の英語留学や日本での学習だと、自分のペースでできてしまうので、どうしても追い込むところまでいかない。でも寮生活だと、勉強以外することがないというか…。デイタイムはほぼ英語漬けになるので、自然と鍛えられる部分が大きいですね。

もうひとつ、私にとってもっと大きな点は、カスタマイズをしてもらえるということです。2015_03_119999EOS 6D_143
先ほども申し上げましたように、リスニングを強化したい思いがあったので、そういったことを事前に伝えると、ビジネス用語やビジネス会話よりも、日常会話を意識した内容でリスニングを強化してくれるんですね。非常に柔軟に、レッスンをカスタマイズしてくれる印象があります。グループレッスンだと勝手な事はできない、人数に合わせた公約数的なものになってしまいますよね。しゃべる量が極端に増えるというのは、もちろんあるんですが、私にとっては、それ以上に授業をカスタマイズしていただけるというのが大きいな魅力ですね。

「セブ島留学はまさに「今でしょ!」

これ(マンツーマンレッスン)が実現するのは、人件費の安さっていうのがもろにつながっている。そういう留学は「今こそ」だと思います。 これからフィリピンもどんどん発展して行く中で、当然人件費も上がって行くでしょう。そうすると、同じ値段でこのマンツーマンレッスンの授業時間数を確保するのが難しくなってくると思います。今すぐではないけれど、じゃあ5年後、10年後がどうなのか?を考えたときに、(林先生じゃないけど)「今でしょ!」っていう気がしますね。

少なくとも、私が教わっている先生は、すごく親しみやすいし、それでいてしっかり準備をしてきてくれる、優秀だなと思う。こんなに優秀な方に、マンツーマンで教えていただいて、彼らのお給料を聞いたときに、むしろ、申し訳なさまで感じるます。

もし、彼らが日本で同じ能力をもって働いたら、何倍、何十倍のお給料もらうんだろう?と考えると、非常に安価にいい授業をうけさせてもらっていると思いますね。

英語以外の部分も実感できる留学生活

僕は今回1人部屋を用意した頂いたんですが、韓国人と相部屋になるのも貴重な経験だと思います。英語だけじゃない、自分を向上させる意味でいい機会だと思う。
相部屋になってる日本人の人に聞くと、やっぱり日本人は主張下手だし、交渉下手なので、部屋のルールっていうのが、韓国人のいいようにされている。そういうのも痛感、実感するでしょう。
4週間くらいいる人が多いみたいなのですが、こちらの学校では2週間経つと先生を変えられるんです。韓国人は結構、要求出して変えるけれど、日本人はほとんどリクエストを出さない。そういうお隣の国との文化、思考の種類が違うっていうのを間近に感じて、また英語を学ぶという以外に色々感じる事もできるのかなと思います。

英語熱、留学熱はむしろ自国の学校教育が満足に提供できていない証拠。

韓国人、日本人を中心とする多くの学生さんが、これだけ英語を勉強する為に海外に出ている事については、国として、恥ずべき事だと思うんです。
つまり、これだけ英語が必要とされている情勢がありながら、学校教育でそれが満足に提供できていない、という事の裏返しだと思う。
セブは他の国に比べれば安いにしても、決してまあ安くないお金を払って外国にきて、何ヶ月、何週間と滞在して英語を習得しなくてはならないものになってしまっている事自体に、恥ずかしさを感じるべきだと思っています。やはり、英語の習得は学校教育でしっかり保証すべきものだという状況になってもう何十年も経っているのに、まだそれが保証されてないという事実に、おおいに反省するべき点があると思います。
例えばフィリピン人の先生に学校単位で1ヵ月(語学研修に)来てもらうとか、フィリピン人の英語教師をもっと日本の英語教育の現場に取り入れるなど、ダイナミックな取り組みがあってもいいのかな、と思いますね。

セブからアジアへ、世界へ。 海外へ出て英語を本当に自分のものに。

せっかくここで何週間、何ヶ月勉強しても、どうしてもそのまま日本に帰ってしまうと、習得するには何ヶ月かかっても、たぶん元の状態に戻るには、数日、数週間で戻ってしまうと思うんです。もちろん維持しようと努力しても、環境的にもモチベーション的にも叶わない部分があるので、それはもったいないなとは思います。 可能ならば、そのまま帰るのではなく、そのままインターンしてみるだとか、そのまま一年くらい海外を廻ってみるとか、そういう経験ができるのであれば、まだ正直付け焼き刃のここで習った英語が、本当に自分のものになる、という期間にあてられたらいいなと思います。自分自身もかなうならばそうしたいなと思いますね。
また、それが叶う環境にいる事自体が、すごくラッキーなこと。
そのラッキーを噛み締めながら、貴重な時間を楽しみ、しっかりと自分のものにしてほしいなと思いますね。ただ、自分を見失ったから、現実逃避としてセブへ英語留学にきた。というような人もいるかと思います。最初のきっかけはそうだったかもしれないけれど、その後また海外に出ることができるのであれば、自分の道を歩み出すというような気持ちで、一歩一歩しっかりと踏みしめてほしいなと思います。

語学学校 SMEAG校 オーナー渥美修一郎氏からのメッセージ

ここで得た事を使って、より活躍の場を広げてほしい。

私の友人がセブ島留学したいとのことなので、紹介します。と、勝間塾でもセブ島に留学に来てくださった、勝間和代さんから、今回ご紹介を受けたのが乙武さんでした。 集中してやるならば、できるだけ長い方がいい、とスケジュールを調整して、4週間の日程を決め打ち合わせをしました。その際、学園生活や校内の移動などのサポートを危惧していた僕をよそに、乙武さんがはじめに言った言葉が、「僕こうなんですけど、他の人と同じように普通にしておいてくださいね、自分で、何でもできますから。」というものでした。 真逆を想像していた僕は、驚きとともに、感動さえしました。実際、何一つの要望もありませんでした。 ビジネスマンも多く通う中、学校では宿泊せずに外部のホテルから通学する人も多い中、乙武さんは、宿泊も学校内で大丈夫です。と、学生寮に泊まり、学校の食事をして、学生さんの皆さんと混じって談笑している姿をみて、本当に人間ができているなと思いました。 英語の勉強に素直にフォーカスし、一般の人と同じように立ち振る舞い、皆と一緒になってがんばっている姿に、学校内の雰囲気にもそのいい影響の輪が広がっている気がしました。 僕も乙武さんは英語がお上手だと思っていたのですが、はじめから、「僕は英語が苦手で…。」とおっしゃっていたにも関わらず、発音もきれいだし、校内では先生とも全部英語で話すほど上達されていました。 日本の著名人の方で、英語を話して活躍する人がまだまだ少ない中、乙武さんみたいな方が、メディアなどで英語を話す日本人としても、より活躍してほしい。一学校経営者として、ここで得たものを使って、より活躍の場を広げ、輝いていただきたいなと思います!