フィリピンが人気! 東洋大学の 体験型プログラムを通じて 世界で活躍できる人材を育てる

IMG_7153フィリピンが人気!東洋大学の体験型プログラムを通じて世界で活躍できる人材を育てる

インタビュー 東洋大学国際部長 高橋 清隆 氏


 

英語で学ぶだけではなく、それを使って何を考え、行動し、未来につなげるかが大事。

東洋大学では、学生が海外に行き、現地に根ざした活動、取り組みをしていくプログラムがあります。
現場主義をモットーに、現地に入って、その地域の人たちがどのような生活をしているのか?そこにはどんな問題があるのか?どういった支援が必要とされているのか?そして、そこで自分たちには何が出来るのか?
を考え、具体的に行動する。といったカリキュラムで、授業の一環として単位ももらえます。
東南アジア各国にプログラムはあり、夏休み・春休みを利用して200名程の学生が参加しています。その中でも、フィリピン・セブは学生たちに人気の場所で、昨年・今年と総勢60人ほどがセブで活動しています。

現地に根ざし、現地の人と一緒に活動をしたり、ホテルなどでのインターンシップを行なうには、まず英語力が絶対に必要です。DSC05818
日本人の学生は英会話能力が低いので、セブの英会話学校の最大手であるSMEAGさんが提供している講師と学生とのマンツーマンによる英会話レッスンは非常に効率がいいと考えています。
体験型プログラムは(社)Giftさんにプログラム設計とファシリテーターをお願いしていますが、セブでオンライン英会話を運営しているワクワークさんにも協力して頂いています。
彼らが支援活動拠点としているロレガ地区などのまだまだ開発が進んでいない場所や、ゴミ山などがフィールドとなります。

そこにはゴミを拾ってたくましく生活をしている人たちがいるわけです。彼らは、ゴミを拾っている事に対して、決してネガティブでなかったりする。
むしろ、社会に対して良いことをしている、環境問題を改善していると思っている人たちもたくさんいます。
一日中ゴミを拾ってもそこで得られるお金は、ショッピングモールのコーヒー一杯になるかならないか程度。
そういった現実を目の前にし、学生たちはこの子たちが笑顔になる、幸せになるにはどうしたらいいのか?自分たちに何ができるのか?を考えていきます。
その地域のひとたちとファッションショーを行ったこともあるんですよ。
また、別のプログラムでは、セブの現地の大学生と一緒に、共同調査を行い、自分たちに出来る事を考え、発表会を行うなどもしていDSC05848ます。

最近の学生たちは、浪人することも少なくなり、ストレートで大学に入れますし、苦労や失敗をする経験が少なくなっています。
そして、彼らは自分たちが与えられている環境や状況が当たり前だと思っています。
「それは違うんだよ。」と言ったところで、大学の教室で講師の授業を受けているだけでは、マインドセットすることはとても難しい。
しかし、これらのプログラムに参加した学生は、全員といっていいほど、この1ヶ月で劇的に変化するんです。
最後には泣きながら発表する子がいるほど感動的で、彼らにとって一生を変えるほどの大きなきっかけや、気づきになっています。
そういった感性や、時間がとれるのは学生ならではだと思いますね。

 

どんどん海外に出て、体験できる環境づくりを大学がサポート。

東洋大学の大きな特徴は、海外語学研修、海外インターシップ及び海外ボランティアなど海外で実際体験できるプログラムが充実していることです。
また、大学が経済的支援を手厚くサポートしています。TOIECのスコアに応じてですが、短期留学でも最大30万円のサポートを受けられるので、フィリピン留学ではおつりがくるほどです。

旅費だけで短期留学が可能なので、学生にとってのハードルはグンと低くなります。大学はこのように学生が海外に行く奨学金として、2億円を用意しました。
「どんどん海外に行きなさい」という環境を率先してつくっています。
DSC05865また、東洋大学の附属高校でも、セブのSMEAGへの語学留学を計画したところ、100名近い生徒から申し込みがありました。
もちろん東洋大学からも、この夏に60名程の学生(右一番下の集合写真)がSMEAGで3週間の英会話プログラムに参加しています。
これらの試みを始める前、実は私自身も、3週間のセブ島留学を経験しました。
初めの1週間は授業についていくのが大変ですが、1対1のレッスンの魅力、そして、一人ずつ丁寧なライティング指導など、それぞれの得意不得意に合わせて個別指導してくれるので、従来のアメリカなどの留学では出来ない充実した学習環境がありました。ここに学生を連れてくれば、確実に英語の学習成果が上がると強く実感したんです。

英語はツールに過ぎません。それを使って何を考え、行動するのか、それが大切です。人間として自分に何ができるのか?学生にはむしろもっと貧困地域等に行ってどんどん経験してほしい。
そして、社会に対して何が出来るのか、思考を深めて欲しいと思っています。

 

DSC05643大学内にフィリピン人英語講師を採用。
英語学習を無料で提供。フィリピン人講師によって大学内に変化が生まれた。

現在、東洋大学には約3万人の学生がいます。海外経験はもちろんのこと、日々の大学生活でも英語を日常的に学んでもらおうと、セブのSMEAGを東洋大学内に実現しました。
毎日40分、1対1または1対4の英会話レッスンで、前期50回、後期50回合わせて100回の授業が受けられます。現在430人の学生が受講していますが、当初よりとても人気があり、受講は抽選となりました。
また、講師ですが、SMEAGのセブ校より13人のフィリピン人講師に来日してもらい授業を担当してもらっています。
先生方はすごく熱心に授業に取り組んでいます。
欧米人の講師だとどうしても「上から目線」になりがちですが、フィリピン人の先生はととてもフレンドリーで、学生が出来るまでじっくり待ってくれます。
言葉がでなかったら、言い回しを変え、違う言葉に置き換えて分かるように指導してくれるなど、特にビギナーにはフィリピン人の先生は最適ですね。
学生からの評価も非常に高く、またそのことが講師のモチベーションを上げています。
学生は、大学の授業の空き時間にレッスンを入れられるので、隙間時間が活用され、とても受講しやすいというメリットもあります。
ですので、来年度には先生を倍増させようと計画しています。

実はこの学内英会話レッスンを始める前、フィリピン人英語講師の採用を日本人の英語教員から反対されたことがあります。
しかし、実際先生が来日し、一生懸命働く姿を見て、また学生がなついて親しくなるのを見て、日本人教員のフィリピン人英語講師に対する感覚もすぐに変わりました。IMG_7159
今では、日本人の英語教員の方から、授業を一緒に手伝ってほしい、英語での履歴書の書き方を教えてほしいなどの要望がでるほどです。そして、講師の空き時間には、大学の職員向け無料レッスンも行っています。
ここにいる玉田課長補佐もその一人で、スイッチが入って英会話レッスンに熱心に取り組んでいます。
このような環境もあって、本学ではフィリピン人がフレンドリーだという事を多くの学生が知っていて、フィリピンに対するイメージがとてもいいんです。

また、毎年行っている先の体験型プログラムでは、フィリピン・セブを体験した学生の多くが一度ではなくリピーターとして再度フィリピンに来ています。
学部や学年を超えたファシリテーターとなって、後輩たちにフィリピンの魅力を伝える役目を自然と果たしています。
先のフィリピンを襲った地震や台風の時には、学生らが自ら義援金活動を行うなどして日本のメディアにも取り上げられていました。
学生が経験を通じ自然と海外に連帯感を抱き、枠を広げようとしています。
たかが英語、されど英語。英語が話せれば、20億人とつながれる。IMG_7222

一つの例なんですが、サウジアラビアという国がありますよね?
サウジアラビアは、入国が非常に厳しい国として有名です。
大学同士の協定を結ぶためサウジアラビアの医療系の大学を訪れた時、看護師として働いているアジア系の人に出会ったんです。

とても英語が上手いので、「どこから来たんですか?」と聞くとフィリピンだったんですね。しかもセブ出身!
サウジアラビアという非常に入国が難しい場所でも、英語にプラスして専門性があると世界中で働けるんだと実感した瞬間でした。

日本でいくら専門能力があっても、英語が話せないと所詮日本国内のみの技術や専門性にとどまってしまいます。でもそれが、英語が話せるだけで、世界中がフィールドになる。
イギリスに行けば、出稼ぎに来た外国人で溢れています。たかが英語、されど英語です。
よく学生に言うのですが、英語が話せれば20億人とつながれるよ、と。英語を身につけることは、やはり時間がかかります。
そう言う意味では、集中的に時間が使えるのは、学生の間だけ。そして、実がある事を言えるようになるには、やはり人生経験が大事です。
豊富な人生経験に、英語力があれば、世界中どこでだってやっていける。学生にはその点をしっかり認識してもらい、この大切な学生時代を過ごしてほしいと思っています。