ピノ

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瀟洒なコロニアルスタイルのフィリピンレストラン 
 
PINO(ピノ)
【アクセス】JYスクエア、キャンプラプラプ近く
【アドレス】Wilson Street, Lahug, Cebu City
【Open】11:00-14:00/18:00-23:00(L.O. 22:30)
【TEL】(032)232-0939


 
回取り上げたアクアビットがどうやら潰れたようで、いっそのことこの調子でダメダメな店を紹介し続け、『このコラムに取り上げられたらもうお終い!』という評判が確立される方向に連載を進めていくのがいいんじゃないかと思ったのですが、編集部に苦虫を噛み潰したような顔で駄目出しをされましたので、今回はまっとうなレストランを紹介することにしました。あ、まったく関係ない話で恐縮ですが、このさらっと使った慣用句の中に含まれる『苦虫』って何ですか?何の虫なんですか?はい、ちょっと調べてきました。どうも『噛んだら苦いであろうと思われる虫』というだけで、特定の虫のことを刺しているのではないようです。なんすかそりゃ!?あたしゃカメムシとかそういうの想像してたのにぃっ!でも、これがここまで広まったということは、昔の日本人は少なくともこの表現を共通認識として分かち合える程度には虫を口の中に入れるということが普通のことだったということですよね?やるねえ、日本人。
はい、閑話休題、ピノ!ですよ。以前にもラグーナガーデンというちょっと小綺麗なフィリピン料理のお店を紹介したのですが、今回のピノ!は、内装の豪華さ、そしてサービスの良さに関して言うとさらにその上を行っています。煌びやかなシャンデリアといい、広々としたテーブルといい、スペイン植民地時代のお屋敷はこんな感じだったのかと、そんな時代のことこれっぽちも知ってるわけでもなんでもないのに勝手に感慨にふけっちゃったりするわけですよ。フィリピン料理っていうとニッパ屋根のローカルな店が多い中、こういうお店は貴重ですね、いやほんと。
あ、そうそう、お店の外には檻があって、開店当初はスタッフの話では虎を飼う予定だと言ってたんですよね。それがいつの間にやら檻の中には水槽なんかがガンガン置かれはじめちゃって、どうもこの中に住み着きそうな動物といったら、お魚咥えた野良猫くらいが関の山な感じになってきちゃったわけですよ。でもね、国民のうっかり八兵衛率が、イチローの打率の倍、いやむしろ三倍なセブのこと、いつか誰かがついうっかり檻の鍵とか閉め忘れて、逃げ出した虎が人の頭を丸かじりしてる写真が新聞の一面を飾っちゃうのはまず鉄板で間違いないので、それはまあ仕方のないことかと。
で、料理はどうなのかと申しますと、個人的にはここがセブで一番美味しいフィリピン料理屋だとは思わないんですが、うちの奥さんなんかはここが一番好きみたい。いや、すれっからしのあたいからするとね、家庭料理のような、よく言えば親しみやすい、悪く言えば下世話な味が持ち味のフィリピン料理なのに、ちょっとお上品にまとめすぎてる気がするんだよう。料理によってはちょっと盛りが悪い気がするしね。
まあでも、生魚のぶつ切りとローストした豚肉を生姜やチリなどの香辛料と一緒に酢漬けにした『シノグラウ』や、フィリピンの国民的料理『ポーク&チキン アドボ』、皮はカリカリ内側とろ~りの豚足の唐揚げ『クリスピーパタ』、酸っぱいスープが癖になる『シニガン ナ バボイ』とか、みんなぺろりと平らげちゃうくらい美味しいんですけどね。特にここのオリジナルの『バンブーライス』は竹の筒の中に入ったフィリピン式炊き込みご飯で、竹の香りがぷふふ~んと香ばしく、フィリピン料理に良く合いついつい食べ過ぎてしまいます。ビールもね、キンキンに冷えたのを凍ったビールマグに注いでくれます。フィリピン料理はイカリングの『カラマレス』や、小エビのスペイン風炒め物『ガンバス』などビールのつまみにいいものも多いので、飲み過ぎには気をつけましょうね。
あ、あと必食なのがハロハロ。日本のカキ氷に似たデザートです。敢えて、ええ、あ・え・て写真は載せません。是非頼んでみてください、試しに10人くらいで行って、全員でここのハロハロを頼んだらどうなるんだろう、まあ間違いなくちょっと軽く腰の一つも抜かしとくかなってくらいの風景に仕上がるんじゃないかと思いますね。言ってる意味がわからない?うん、だから行って頼んでみてくださいってばさ。絶対後悔はさせませんから。
 
 
バンブーライス シヌグラオ(ポーク入りキニラウ) ブラロ(豚骨のスープ)